平成26年4月6日 3首



いつだって賢い人であったのに娘2人にいい顔をしだし

老いたらば子に従えと言うけれどなにも今ではないのじゃないか

友がゆく列車が通る窓ガラス葉桜うつり緑が伸びぬ
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by poroporotanka | 2014-04-05 23:02

平成26年4月2日 18首

蟻焼

浅間麓焚き火に飽いた少女の眼蟻焼をして愉しんでおり

疾風はうすばかげろう連れ去りぬ名もなききのこの胞子のうえに

牛虻を十六始末し窓外を見やれば遠き八ヶ岳なり

蜘蛛の巣が窓に張りつく早朝の空気は凍れりうすらいのごと

雀蜂軒下にある脳髄の巣から聴こえるストラヴィンスキー

蟻行列我の身体を迂回するガリバーのまなぶた大きく閉じて

沓掛という名がありし軽井沢神馬の沓を捧げたろうか

並行しリス走りのぼる松の枝ぽきぽき折りて薪にくべたり

マッチより臭気がのぼりてふと街の排気ガスを懐かしむ我

落雷の火山の麓の響きには仔犬ふるふるふるえる尻尾

夕映えの淋しき顔の少年をふと我が兄と思い直したり

小浅間にのぼりて黒き山肌に少女の顔が現れては消ゆ

さむざむと侵入しては朝になりさわやかと思う山の冷気よ

疎開先雛人形も戦争をくぐり抜けるも邪気を帯びたり

たっぷりと窓に向かいて山の気を吸い取るごとし祖母の肺胞

桃の肌産毛をさすりさすりしてふいに指さす悪者の我

好奇心一晩見たし溶岩の瑞光ありてああ光苔

朱の色の草の汁つく手をかざし血潮がうねり透けるは怖れ
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by poroporotanka | 2014-04-02 00:38